弊社の事務所の屋根に太陽光発電を設置することになった。
本来僕には関係の無い話であったが、立て続けに担当者が退職したことにより急遽僕が担当になってしまった。
僕は専任の電気主任技術者だけど役職はないので経営側からすれば都合がよくて、今回の太陽光発電システムの設置に関して工事から電力会社の申請まで全て一任された。
因みにこの工事によって保安規定の改定が必要になったのだが、この時もひと悶着あって、興味のある方は過去記事で↓
今回設置した太陽光発電はメガソーラーではなくて50kW未満の小さなものである。
50kW以上の太陽光発電になると自家用電気工作物として「工事計画」「保安規定」「電気主任技術者」他手続きが多くなりますので事業として太陽光を設置する以外は50kW未満とするのが一般的です。
本題に戻りますが、いよいよ工事の時期が近づき、ある上司が・・・・
上司「今回の太陽光発電設備の工事は電力会社にも言っておいたほうが良いのでは?」
僕「はい、では電力会社の担当者に伝えておきます。」
これが地獄の始まりだった。
僕「お世話になっております。今回弊社に太陽光発電を設置することになりまして・・・」
電力会社担当者「そうですか、それでは[系統連系の接続検討]が必要ですね」
僕「えっ、いや出力50kW未満なんですけど・・・」
電力会社担当者「出力は関係ありません。弊社系統に発電設備を接続する際には必ず必要になります。」
接続検討(某電力会社HP引用):電力系統とお客さまが設置される発電設備を連系するにあたり、電圧変動なども考慮した技術的な検討をおこなうものであり、接続契約申込に先立ちお申込みをいただく必要があります。1地点1検討あたり20万円(税別)の検討料が必要となります。接続検討から系統連系までには、長期間要することがあるため、早めに接続検討申込をいただくようお願いいたします。
僕「特別高圧ではなくて、低圧200Vで接続しまして、事務所の電力消費に充てられるものです。系統に送電するものではありませんよ。」
電力会社担当者「ですから出力には関係なく、また送電か自家消費かは関係ありません。電力会社系統に接続するお客様が発電設備を設置する際は必ず必要になります。」
僕「・・・・・何が必要になりますか?」
電力会社担当者「必要書類を送付します。場合によっては保護リレーの整定値の再調整が必要になります」
僕「(マジで?)」
その後電力会社から何枚もの必要書類が送付された。新設する太陽光発電設備の情報は建設業者に任せればよかったが、既存の保護リレーの整定値や既存の保護リレーの能力(メーカー、型式、制定範囲)、インターロックの調査が本当に大変だった。
それでもなんとか提出して数日後・・・
電力会社担当者「接続検討が終わりましたが・・・太陽光発電設備のリレーに地絡過電圧継電器の信号を持ってこれますか?」
僕「えっ?77kV系統保護で使用しているリレーの接点を200V接続の太陽光発電まで?」
電力会社担当者「そうです」
僕「いやそんな工事してたら発電開始まで何か月もかかるし、建設前からいきなり赤字確定ですよ」
電力会社担当者「そういわれましてもルールなので」
僕「他に方法ないんですか?」
電力会社担当者「現在お客様が使用されている系統の全需要家の保護リレーの整定値を変更すれば工事は不要です」
僕「・・・・それ絶対無理ですよね?わかりました。なぜOVGRの接点引かないといけないのか理由が分かる資料下さい」
電力会社担当者「わかりました」
僕「(うわっどうすんのよコレ、屋根上でオブジェになるのか?)」
こうして電力会社から届いた接続検討の資料を熟読した。
電力会社の優秀なプロが検討しているので変更できる余地はないと思っていたのだが・・・
なんと検討内容が間違えていることを発見!
指摘した結果なんと既存の保護リレーの整定値で工事可能との結果に!
グッジョブ僕!!!!
ことの顛末はメールのCCに会社の幹部を入れていたのだが・・・・
幹部「僕君、最近なんか大変だったな。電力会社とずーとやりとりしてて」
僕「そうなんです。保護リレーの整定値変更の可能性もあったんです。」
幹部「ふーん、よくわからんが」
僕「ははっ・・・・・」
ど素人が!!!
人知れず戦うヒーローちゃうねんぞ!!ボケ